今更VAIO Z(2011年夏モデル)のレビュー

先週、新母艦PCとして衝動買いしたVAIO Z VPCZ219FJ/B/DW※1(2011年夏店頭モデル)を1週間使ってみての感想。→買い物に至った経緯についてはこちら。
※1 VPCZ219FJ/BはVAIO Z店頭販売モデル。DWはDIS mobile WiMAXの意。WiMAX内臓モデルだけどDIS mobile WiMAXとしか契約できないということ。自分は既にUQ WiMAXのWiFiルーターを所有しているため利用予定無し。



既に秋冬モデル、春モデルとリリースされている現在では2シーズン型落ちとなりますが、選択できるCPUが若干変化しただけで昨夏からほぼ変更無しなので、タイミングが遅すぎて誰得レビューってことにはならないかな?2012年春モデルのレビューと当てはめても嘘にはならないかと。

レビューにあたり自身の使い方・嗜好(スタンス?)を明確にしておくと
  • デスクトップPCとして使用(持ち運ぶ機会は年5~6回程度とかなり少ない)
  • 3Dゲームや3DCG制作、CADはしない(3DCGは今後手を出す可能性はあるけど)
  • 負荷が掛かる用途は、動画再生、動画エンコードくらい
  • 自分はSONY信者でもなければSONYに過大な期待を寄せることも無い
ちなみに職場ではlenovo ThinkPad W510とPanasonic CF-Y7を使用。ポインタデバイスはThinkPad特有のトラックポイントや、一般的なタッチパッド、Let's Noteの円形タッチパッドなど、だいたい体の方を合わせられるタイプ。キーボードについても評判悪かったVGN-SZ系でも何ら不満を感じなかったので、このあたりは評価甘めの可能性有り。逆に騒音や発熱には神経質な方。SEやってるせいか自身で解決可能な問題については寛容な方だと思います。

結論を先に述べると
  • ゲームをしない分にはデスクトップ機として十分の性能
  • モバイルPCとしてはサイズ・重量・性能・バッテリいずれも魅力的
  • 本体は負荷を上げない限り発熱も排気音も気にならない
  • SSD RAID0は店頭モデルですら爆速に感じられる
型落ち価格となっている現在では、コスパも含めて一般ユーザーが現時点で入手できる最高のモバイルPCのうちの一つかと。ただ、究極を求める方はIvyBridgeの次期モデルを待った方が幸せになれそう。


【Zシリーズのコンセプトと系譜】

まず購入したVAIO Z(以降Z2系と呼称)の位置づけについて簡単に紹介すると、高性能かつ高機動性の両立というコンセプトで2011年春まで発売されていた先代VAIO Z(以降Z1系と呼称)の後継。Zシリーズは2008年から登場しますが、次のような経緯を経ています。
  • 2004年 VGN-S系:ハイパフォーマンスモバイル type S登場(Pentium M時代)
  • 2006年 VGN-SZ系:モバイルとパフォーマンス、重視したいシチュエーションに合わせてGPUを切替えられるSZ系がS系から派生(Core duo,Core2時代)
  • 2008年 VGN-Z系:S系およびSZ系がモデルから消滅し、路線を継承したtype SR(VGN-SR系)と、BDドライブやSSD搭載などプレミアム寄りに振ったtype Zへ分岐
  • 2009年 VPC Z1系:Core iシリーズ搭載、高解像度化、SSD RAID標準搭載のハイエンドモバイルとしてZシリーズ誕生(SR系はスタンダードモバイルとしてSシリーズへ)
  • 2011年 VPC Z2系:PowerMediaDockを擁し、より軽量薄型化した新Zへリニューアル ←今ここ
Z2系のコンセプトは先代Z1系と同様に「高性能とモバイル性能の高次元での両立」を目指しているように見えますが、VGN-SZ系から続いていたGPU切替え方式は捨てて、PowerMediaDock(以後PMDと呼称)によるGPU外出し方式へとアプローチは大きく変化。いつでもどこでもハイエンドをといった先代Z1系の考え方から、熱源を外へ出すことにより軽量化・薄型化をすすめてモバイル性能を高める方向へシフトしています。結果、代償としてモバイル先ではピーク性能が出せないというモデルに変貌しました。

mac book airをライバル視しているとの意見も見かけましたが、14インチ未満で18mm以下の薄さ、8時間以上のバッテリ性能、USB3.0対応など、intelが提唱するUltrabookの条件を満たすことを意識しているんじゃないか?という意見の方が同意できるかな。ただ現時点ではスタンバイ状態で、定期的にメールやSNSへのアクセスを行いユーザーに通知できることってのは実装されてないようなのでUltrabookは名乗っていない模様。

【事前調査では…】

衝動買いとはいえ、一応ポチる前に製品コンセプトだけでなく個人blogのレビューや、PC系ニュースサイトの記事などをチェックしたんですが、“Z”と付くと究極のモバイルPCであることを期待される方も多いようで、個人blogのレビューや掲示板では賛否両論の様相。ニュースサイト系はハッキリとダメ出ししてる記事はほとんど無く、むしろ絶賛な感じ。まぁ実質宣伝記事なので当然か。

評判が良くない点で目だった件をピックアップすると
  • PMDの外部GPU(AMD Radeon HD 6650M)によるパフォーマンス向上が微妙
    PMDを接続すればグラフィックパフォーマンスが向上するというのがウリとされてるけど、最新のゲームには役不足(らしい)。

  • PMDの着脱運用が解りにくい
    モバイルで活用される方の場合、頻繁にPMDを着脱することになるけど、スリープ中など一部のシチュエーションだと着脱するタイミングによってはブルースクリーンのような不具合が発生する

  • 外出先で光メディアを使うには結局PMDを持ち運ぶ必要があり軽量化が意味が無い
VAIO SA系や他社Ultrabookとの差別ポイントがPMDに拠る部分が多いこともあってかPMDに批判が集中している様子。ただVAIO Xで出ていれば文句が無かったとの意見をかなり見かけたので、実質的な問題は2点目くらいなのかもしれない。

自分の使い方だと、ゲームマシンとして使用する可能性は無く、外出先で光メディアを使用したいシチュエーションもここ3年間は無かったので、1点目と3点目は問題なし。

自分にとって問題となるのは2点目だけで、こちらは着脱操作の順番さえ誤らなければ発生しない運用回避が可能なレベルかつ、持ち出す機会が実家に帰省するときくらい(年5、6回)なので、我慢可能な範囲。ただ、瞬電のタイミングでも発生しそうな雰囲気なのは気になる。UPSにACアダプタ繋げば回避できるんですが、ノートPCにUPS使うのかとw。PCが落ちた際にダメージが大きくなりそうな作業(バックアップ、リカバリなど)をする場合は予めPMDを取り外しておくというのが費用も掛からず現実的な回避方法だろうね。

【実際手元に届いて…】

外装

まずその薄さに驚きます。今まで使用していたSZと比較して最薄部でも6.8mm、最厚部だと17.1mmも薄い!それでいて筐体の剛性感はZ2系の方が上という…5年間の進歩は凄まじい。PMDも同じ薄さ・デザインに統一されています。コスパよりも所有欲を満たすアプローチはSONYらしい。
厚さの比較。下からSZ、Z2、P。判りにくいかもしれないけどZ2はPよりも薄い。SZとは比較にもならない。
Z2の上にPMDを重ねてみたの図。奥行こそ違えど意匠が合わせてあり統一感がある。
PMD(左)とスタンド(右)。
PMDの吸気を妨げないようスタンド側にもスリットが入っており、PMDの吸気スリットがある方を下にしてセットする。

フットプリントはVGN-SZ系より15mm横に広がり、奥行きが24mm縮まった程度なので、大きさは今までと変わった感覚はありません。
SZの上にZ2を重ねてみた。奥行が縮まって幅が広がったのが判る。白いのはVAIO P。

外装仕上げはさすがSONYといった印象で、今回のZ2は店頭モデルなので標準天板ですが、オーナーメードでカーボン天板にしていたSZと遜色無い質感。WEBの写真では判らなかったポイントなので、外装の質感を気になる方は実物を見た方がいいかと。
SZ(左)とZ2(右)の天板。SZはポートリプリケーター装着状態。Z2にしたことで奥行が大幅に削減。

タッチパッドはザラザラしていて最初はとまどったもののすぐに慣れた。反応がニブい気もしたけど、ポインタの速さを最速の2段下くらいまで上げることで不満は解消。

キーボードはかなりストロークが浅く、キータッチは好みが分かれるかもしれません。SZがかなりストロークが深かったので、若干とまどったものの自分はすぐに慣れました。ただ、EnterキーがSZと比較して指一本分外に離れたので、最初は頻繁に“」”と押し間違えてました。こちらは慣れるのに4日程度かかったかな。自分の手が男にしては小さいことも起因しているかもしれません。

セットアップ

フットプリントがSZとほとんど変わっていないので、これまで置いていたスペースにそのまま配置。PMDのおかげで、本体にはPMDのみ接続し、USBやLANケーブル、HDMIケーブルは全てPMD側へ接続するというポートリプリケーター的な使い方ができ、本体の周りはスッキリ。
PMD(右)に全て結線しているためPC周辺はスッキリ。電源ケーブルを抜くだけで即持ち出せる。

起動

まず不要と思われるプログラムの削除や、Windows Updateを数回行った後、リカバリ用のメディアを作成といった作業に着手。昨夏モデルということもあってWindows Updateは何度も再起動が必要だったんですが、OSの起動・再起動が恐ろしく早くて、思わず「速っ」と声が出ました。

実測してみると概ね17秒でログイン画面が表示されます。ログイン後もほぼ待たずに使用可能。シャットダウンも速いしスリープ機能いらないんじゃないかと思ったぐらい。第2世代SSDの店頭モデルでこれだと、第3世代SSDとなるオーナーメードモデルだとどんだけ早いんだよとw

画面

画面解像度は店頭モデルだと選択肢が無くて1600×900。13.1インチだと文字のサイズ的にこの解像度が正解かなと思います。DTPやCADなどに手を出す分には狭いかもしれないけど、マルチモニタ側はフルHDでいけるので、デスクトップ利用ならばマルチモニタにすればっていう気がします。自分は動画を見ながら作業したり、複数種のブラウザを上げて作業することがあるんで、マルチモニタにしています。

本体のLCDはオーナーメードだとより高品位なものが選択できるようですが、自分はDTPやCG制作をする人間では無いので店頭モデル標準のもので十分でした。これまで使用していたSZのクリアブラック液晶と遜色ないし、職場で利用しているThinkPad W510やPanasonic CF-Y7とは比較にならないほど発色が良いです。

動画再生

PCリプレースの主目的w。うちのSZだとカクカクになってしまう動画“【MMD】 ミク・テト・リンに ねぇ を踊ってもらいました 【Perfume】”で動作確認を実施。
Full HDに拡大して再生中。スクリーンショットの一部をカット。
流石に余裕…っていうか内蔵GPUでも余裕w。そういやニコ動やYoutubeの動画再生はGPUよりCPU能力がモノを言うってどこかで聞いたような。それが事実ならばオーナーメードでPMD無しという選択肢もアリだったかも。発売時の24万円前後で店頭モデル買ってたら後悔してたかな。

他にベンチマーク的な動画がいくつかあったので確認。
【FullHD】GPUベンチLv11 Tell Your World Fullver-livetune feat 初音ミク【60fps】
全く問題なし。ただ40%前後とはいえCPUはぶん回るみたいで、ファンの排気音と排熱が凄まじい。初めてこのマシンが煩いと思いました。どうもPMDをスタンドへ上下逆にセットしてたせいで、排熱が上手くいかずに轟音を発していたようで、今日同じ動画を再生してみたところ、さほど煩くありませんでした。
Full HDに拡大して再生中。スクリーンショットの一部をカット。

【120fps】八王子P feat 初音ミク electric loveベンチマーク【Lv13】
CPUの回り方は40~60%なんだけどスローモーションw再生停止するのにも5秒くらい掛かった。メモリ転送帯域が不足している挙動にも見えるけど、6コアでもスローモーションになる動画らしいので気にする必要は無いかな。

とりあえずPCリプレースの主目的は達成。

Office

-確認中-

【モバイルPCとして…】

自分の場合デスクトップ利用が主なので、常にPMDの恩恵を受けられるんですが、頻繁に持ち出すモバイル利用が主だったとしても、PMDは必須アイテムと考えています。

なぜなら、本体にはPMDのケーブルのみ接続し、LANケーブルやHDMIケーブル、USBケーブルなどはPMDにのみ接続することで、PMDを取り外すだけで自宅環境から切り離して本体を持ち出す運用が可能になるから。(ポートリプリケーターとして使用。全て無線で済ます方には意味が無いアピールですが)

その場合、ハイパフォーマンスGPUと光ドライブを自宅に置いていくことになるんだけど、自分がSZを毎日持ち出していた頃を思い返すと、外出時はGPUをスタミナモードに切り替えていたわけで、内臓GPUであるインテルHD3000がそこそこの性能を持ち合わせていることもあって、外付けGPUを持ち出さなければならない理由があまり見当たりません。

また、光ドライブについては、自分ならば、
  • DVD、BD再生、実行にメディアが必要なゲーム:外出先が職場や実家ならば、あらかじめ外出先に余っている外付けドライブを1台置いておく
  • データ共有が目的(データサイズ小):クラウドサービス利用
  • データ共有が目的(データサイズ大):SDカード、メモステ、USBストレージなどを利用
といった方向で解決します。外出先が自分のテリトリーではなくて、なおかつDVDやBDを再生したいという要件には応えられないんですが、自分の場合、ここ3年はそんなシチュエーションに出くわしていません。

モバイルPCはVAIO Pで満足※2していることもあって、残念ながらモバイルPCとしてZ2を使用する機会はあまり無いだろうけど、モバイルPCとしてのZのポテンシャルはかなり高いと思っています。外で性能を重視するシチュエーションが多くなってきたら迷わずZを持ち出すでしょう。

※2 600gを切る重量でコートの内ポケットにすっぽり収まるサイズ、それでいて打ちやすいキーボードに高解像度LCD。性能はちょっと目をつぶる必要はあるけど、あれに代わるモバイルPCはそうそう無い。

【注意点】

  • メモリの増設・交換不可(DTP等でメモリが必要な方はオーナーメードで予め盛る必要がある) 
  • キーボードやポインタデバイスは好みが分かれそう(実物を触って確認した方が無難)
  • PMDの発熱は常に高め。ただし騒音は少ない。(夏がちょっと怖い)
  • TrueSuite(Webのパスワード認証を指紋認証で行うことができるツール)はChromeでは使い物にならない。
  • スピーカーはおまけ程度。イヤフォン出力も含めてS-MASTERのSZには到底及ばない。USBでDACに接続してるんで自分はあまり問題にはならないけど。
4月7日追記
昨夜、グッ鉄カフェのニコ生イベント“『初音ミク and Future Stars Project mirai 』を関係者で "ホドヨク" 遊んでみよう!”へ行ってきたんですが、自分の前方のテーブルに座った女性二人組がバッグの中からとりだしたのが、なんとZ(しかもブルーだったのでオーナーメードモデル)。

Zのコンセプトとカラバリ的に女性向きと思っていなかったけど、PMDなしでモバイル性能に特化して考えると、薄くて高品位なモバイルPCとして魅力あるのかもなと思った。mac book airにしろdynabook R631にしろ競合製品はカラバリが乏しいってのもあるかもしれないけど。

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